草履の各名称(メンズ・レディース共通)
この記事は51年草履を手造り続けてきた
「和装履物製造卸│矢野ぞうり店」が執筆しています。
草履は昔から日本人に親しまれてきた履物の一つです。現在再ブームの兆しがある和装、その足元を飾る草履の事をもっと知ってもらおうと、
草履の各パーツの名前をご紹介します。ちなみですが草履が地面に接地する部分(裏側)の事を「底」といいます。
こちらの草履は一般的な形状になります

シンプルな形状ですが、軽くて履きやすい女性用草履になります。この草履は黒のエナメルに貝殻を加工した装飾が施されています。それでは各パーツの名称を見ていきましょう。
草履の名称「天」-TEN-
天(てん)は足に直接触れるする部分です、コルク素材の台(ボディ)との間にショックを和らげる素材が間に入り、天の吊り込み(最初の写真)を行います。
この天の吊り込みは職人がいなくなってしまい、現在では「矢野ぞうり店」のみが手作業で行い、他の製造者は機械で吊り込むと伺ったことがあります。
草履の名称「巻」-MAKI-
巻(まき)は草履の側面です。台のコルク材に革を巻き込んでいくことから「巻」という名称になったのではと思います。
この巻の作業では、一切のシワも許されないシビアな作業になります。接着剤は気温や湿度を見極めながら、塗った後どれくらい置けば良いか判断します。
乾きすぎても着かないし、緩すぎるとズレが生じます。接着作業時は四季を通して冷暖房無しの無風の工房で作業しています。
草履の名称「鼻緒」-HANAO-
読み方は鼻緒(はなお)と読みます、花緒と書く場合もあります。日本の伝統的履物の草履・わらじ・雪駄・下駄などに用いられます。革素材の鼻緒は足袋を履いて履くことを想定していて、素足では痛いです。
素足で履く場合の鼻緒は柔らかく、足との接地する部分がスエードなどの生地、この後紹介する坪部分がビロードになっているものがお勧めです。
台に鼻緒を通すこと(取り付けること)を鼻緒を挿げる(すげる)と言います。足の甲が高めの人は緩めに挿げるのが一般的ですが、履いているうちに伸びるので、自分の足に馴染むまでは、少しきつく感じるかもしれません。
「矢野ぞうり店」では鼻緒の調整や新しいものに交換なども行っています。詳しくは
お問合せください。
草履の名称「坪」-TUBO-
足の親指と人差し指の間に接触する部分で坪(つぼ)と読みます。
ビーチサンダルやサンダルの様に奥まで指を突っ込まず、浅めに入れるのが一般的です。
この坪(前坪ともいう)は革素材とビロード素材が一般的です。
どんな用途で履くのかを考えた場合
- ・革素材
足袋を履いて着物を着る場合
- ・ビロード素材
女性は浴衣やカジュアルな着物で歩く時間が長い場合
痛くない草履とは鼻緒次第
- ・革ではなく生地である
- ・接地面が柔らかいスエードなどである
- ・鼻緒は太目(中綿が多い)
- ・前坪はビロード素材
- ・前坪は太目が良い
裸足で履くのであれば上記を確認して購入しましょう。