成人式や卒業式に着る『振袖』『袴』に合わせる草履の選び方
振袖や袴で成人式や卒業式に出席したいが、格式のある和装でどんな草履を選べばよいか不安があると思います。しかも成人式や卒業式が始めての着物という方がほとんどではないでしょうか。
また、学校の先生や父兄の方で着物を着たい場合、適した着物と履物はなにがよいのかも後半にご紹介いたします。
草履職人として51年間草履を造り続けてきた
矢野ぞうり店が、そんなお悩みを解決しようと思います。
今回の記事は、草履職人の矢野八郎が執筆し、ホームページ用に編集していただいています。
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女性の成人式・卒様式の着物と履物
成人式・卒業式は式典になるので、第一礼装の着物が望ましいです。未婚者の着物の第一礼装は振袖です、卒業式は振袖に袴を着用するのが最もポピュラーです。
振袖とは
未婚者の第一礼装の着物です。袖の長さは三種類あり、格の高い順に大振袖・中振袖・小振袖があります。
大振袖は袖が地面に付くような長い袖になり、屋外では不向きで、成人式や卒後式には使用しないのが一般的です。
中振袖は袖がくるぶし近くまであります。動きやすさはさることながら、非常に華やかな印象を与えます。
小振袖はひざくらいまで袖がきます。最も扱いやすい振袖で、中振袖・小振袖のどちらを選ぶかは本人の好みで構いません。
また、振袖は成人式。卒業式は振袖袴が一般的です。ただし、昨今では振袖で卒業式というスタイルもあります。
振袖に履く草履
振袖は未婚女性の第一礼装ではありますが、これといったルールはなく、高さ・色・素材・柄など着物に合わせたお好みのもので構いません。ただし、振袖は第一礼装なので裸足ではなく足袋を履いた方がいいと思います。
草履の選び方ですが、履いている時間が長いので、軽くて高さの高すぎない草履がおすすめです。
また、草履はその人の足の形に変形していきます。当日までに履き馴染ませることをおすすめします。
卒業袴とは
卒業袴とは着物ではありません。袴は振袖着物の上から履くものを袴と言います。いい具体例が見つかりませんが、水着のパレオのようなイメージかと思います。
学生と袴の関係は古く、明治時代の女学生の制服が袴でした。今では普段履きに袴を着用することはございませんが、脈々と引き継がれてきた卒業式は、袴を着る習慣が残っているのではと思います。
卒業袴に履く草履
基本的には振袖の上から履くので、未婚女性の第一礼装ですが、同じくルールはなく、お好みのもので構いません。
袴は着物と相対的な色を使う場合が多いです。
たとえば、ピンクの振袖に紫の袴や、振袖の柄の一部の色と統一するなどのコーディネートが多いと思います。
草履の色は袴の色にとらわれず、着物の色で合わせるといいと思います。
また、全ての着物に言えることですが、着物を着る場合、草履はかかとが少しはみ出るものを選びましょう。
草履の方がかかとより出ていると裾を踏んで転倒する恐れがありますし、かかとが出ている方が、品がありますので少し小さいサイズの草履を選びましょう。
男性の成人式・卒業式の着物と履物
男性も最近では着物で成人式・卒業式に出席する方が増えてまいりました。男性の場合は紋付羽織袴一択になります。
紋付羽織袴とは
男性用の着物で第一礼装です。結婚式では黒紋付を使用しますが、成人式・卒業式は、お好きな色でコーディネートして大丈夫です。
家紋は一つ(背中)、三つ(背中・両袖)、五つ(背中・両袖・両胸)となるにつれて格が上がっていきます。
成人式や卒業式は式典なので五つ紋でいいと思います。この紋の数ですが、一つ紋・三つ紋は準礼装にあたり、式典などでは第一礼装の五つ紋が一般的です。
呉服屋さんや、レンタル着物屋さんから教わると思いますが、覚えておいてください。
紋付羽織袴に合わせる履物は雪駄
男性の場合の第一礼装は草履ではなく雪駄になります。雪駄は畳表が最も格が高く、白鼻緒が望ましいです。
ビニールの畳柄雪駄もありますが、見るからに安っぽいです。
矢野ぞうり店では、竹皮を編み込んだ畳表のご用意がありますが、受注発注になります。
詳しくはお問合せください。
父兄や来賓で出席の着物と履物
父兄や来賓は主役を引き立てる為、あまりに派手ではない着物を選びましょう。また、卒業式でも入学式でも、同じ準礼装や略礼装の着物がいいです。それでは各着物の説明と適した草履をご説明します。
訪問着に履く草履
訪問着は紋が入ると準礼装に、紋が入らないと略礼装になりますが、基本的には華やかな模様で、着物自体が一枚の絵の様な模様(絵羽模様)になっており、入学式や卒業式で一番人気の高い着物です。結婚式に出席する場合は紋入りで準礼装になります。準礼装の場合は草履の色は金・銀系が望ましいとされています。
しかし、入学式や卒業式は紋を入れない略礼装で構いません。ただし、あくまで主役はお子さんなのでド派手な訪問着は控える方がいいと思います。
草履は金・銀系を選びます。少しお洒落に履きたい場合は、白や淡い色を選びましょう。訪問着は格が高いので、草履の高さも高めの物を選びましょう。
私の作品の五分三枚が7cmなのでちょうどいいかと思います。
付け下げに履く草履
付け下げ(つけさげ)と読みます。付け下げは略礼装で訪問着の一つ下の格になり、少し控えめな柄着物になります。
訪問着との違いは、胸、肩、袖、裾などの部分に同じ柄が入っているのが付け下げの特徴になります。
付け下げの場合は、袋帯を締めればフォーマルな装いになり、入学式や卒業式にも適した着物になります。
草履は訪問着と同じ選び方で問題ありません。
色無地に履く草履
色無地とはその名の通り無地の着物になります。ただし、黒以外の色に染めているものをいいます。
色無地は付け下げより格としては下になりますが、色無地には紋が入れられるメリットがあり、紋入りの色無地は訪問着と同クラスの格付けになります。
紋入りの色無地は落ち着いた雰囲気があり、絵柄で悩まなくていいというのもメリットです。
入学式・卒業式の場合は一つ紋で袋帯を締めれば適した着物になります。
草履の選び方も訪問着同等の準礼装になるので、訪問着と同じ選び方で問題ありません。
入学式・卒業式での先生の和装と履物
入学式の場合は男女問わずスーツで問題ありません。逆に着物は適しませんのでご注意ください。
卒業式は和装がいいと思います。
ではどんな和装が適しているのでしょう。
男性の先生の和装と履物
卒業式は式典であり、教え子たちとの最後のイベントです。
着物は第一礼装と呼ばれる黒紋付羽織袴が最もふさわしいです。家紋は一つ(背中)、三つ(背中・両袖)、五つ(背中・両袖・両胸)となるにつれて格が上がっていきます。
履物は雪駄がいいです。雪駄でも畳表の白鼻緒が最も格が上で、黒紋付羽織袴では畳表の白鼻緒雪駄が一番いいと思います。
畳表は、昨今では安いビニールの畳っぽい柄もありますが、本物はトウモロコシの葉を編んだ畳表など、手間のかかった高価な物になります。
大学の先生などで毎年使うのであれば、本物の第一礼装用の雪駄を購入するのもいいと思います。矢野ぞうり店でも取扱いをしていますが、受注発注とさせていただいています。また、足の長さ、最大幅、甲の高さの寸法を測り、完全なフルオーダーになります。
ネット上で対応可能なので詳しくはお問合せ下さい。
女性の先生の和装と履物
教え子たちが巣立っていくのを見届ける大切な卒業式。日本の礼装で送り出すのもいいと思います。
ではどのような着物と草履が適しているのかご説明します。
まずはじめに、女性の先生が卒業式で必須だと思うものがあります。
それは袴です。袴を履くことにより、父兄や来賓と差別化されます。必ず袴スタイルにしましょう。
適した着物はド派手ではない色の『小振袖(未婚の先生)』、『訪問着』、『一つ紋の色無地』がいいと思います。
少し控えめな柄の訪問着が人気ですが、どのタイプも控えめな柄に袴を履いてください。
草履は格の高い色で金・銀、少しお洒落に履きこなしたい場合は白や淡い色がおすすめです。
高さは5cm以上が望ましいです。
まとめ:成人式や卒業式に着る『振袖』『袴』に合わせる草履の選び方
入学式・卒業式・成人式の着物と草履についてご説明しましたがいかがでしたか?和装には一定のルールがあることが分かったと思います。
最近では全てレンタルしてくれるお店もありますが、卒業式の記念に・・・、成人式の記念に草履を買ってはいかがでしょうか。
草履の耐用年数は合皮エナメルで5年、本革エナメルで10年とされています。結婚式でも白無垢以外では使用可能なので、大切な娘さんにプレゼントするのもいいかもしれませんね!
和装履物製造卸の矢野ぞうり店ではフォーマルからカジュアルまで幅広い作品の草履を製造しています。
卸値価格でネット販売のみとなりますが、この機会に是非見に来てください。
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